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海外の山歩き
ミルフォードトラックとルートバーントラック キーサミット 2020.1.20(月)から1.28(火)までの9日間

ミルフォードトラック 位置図 |

ミルフォードトラック ルート図 |
世界一の散歩道と称され,世界自然遺産にもなっているミルフォードトラック,いつ頃からこの名前を知ることになったのか定かな記憶はありませんが,「いつの日にか行ってみたいなあ」と夢追い人の心境で年を重ねてきました。しかしながら,このコースは夢をかなえようとするとお金が半端じゃありません。妻に話しても乗ってくることはまずあり得ないのではと半ばあきらめていたのですが,古希を過ぎ残り少ない人生を思うと,話ぐらいは出してみようとお茶のみ話にヒョイと出してみたら意外なことに即乗ってきて,実現する運びとなりました。
二人分の費用というと大いに躊躇しますが,そこは主婦感覚でどうにかひねり出してくれました。ツアー会社をいろいろ比較したところ,毎日新聞旅行の「まいたび」が最も手頃な価格で内容も充実していたので決めました。参加者は私たち夫婦と単独参加者5名の合計7名という親しみやすい人数でした。うち男性は2名と圧倒的に女性陣が元気です。 |
成田~オークランド~クイーンズタウン(ホテル泊) 1.20(月)~1.21(火) 晴れ時々曇り
ミルフォードトラックの取り付き地,小都市クイーンズタウンは遠くて疲れます。成田発夕方6時半のニュージーランド直行便に乗りクイーンズタウンに着いたのは午後3時でした。山に囲まれた大きな湖の畔に開けた人口3万人あまりの町で,リゾート地軽井沢といった感じでしょうか,世界中の観光客が多く賑やかです。ガイドの話によると,住宅地は土地付きで1億円を超えるとか,バブルの最中にあるということです。
ちょうど真夏の時期ですが,長袖シャツでちょうど良くて日本の春先のような気候です。日本での冬支度がさほど暑く感じませんでした。
町中を散策してみると,日本車が圧倒的に多いのと土産店のスタッフややミルフォードトラックのガイドツアー会社「アルチメイトハイク社」にも日本人がいるのにはビックリしました。日本にはとても縁の深い国のようです。夕食は午後7時過ぎから,外はまだまだ明るく,暗くなるのは10時過ぎでした。 |

やっとクイーンズタウン空港に到着です。日本語の上手いイギリス人ドライバーにホテルまで送ってもらいました。日本人慣れしていました。 |

ホテル前では軽トラの「ダイハツハイゼット」がゴミを搬出していました。快く写真を撮らせてくれました。 |

ホテルからクイーンズタウンの中心部へ向かいます。日本の車が目立ちます。正面の山にはゴンドラが掛けられ,山頂にはレストランがあるそうです。 |

町中の親水公園です。イギリス人の感覚で整備された公園で多くの人々が水と戯れたり,おしゃべりをしていました。 |
クイーンズタウン~ミルフォードトラック グレイドハウス 1.22(水) 晴れ時々曇り,小雨
クイーンズタウンから2時間半,ミルフォードトッラクへ向かう船着き場「テアナウダウンズ 」に向かいます。途中,町はおろか集落らしいところもなく,羊や牛の群れが目に入るぐらいの平野部を走り抜けます。一般道路ですが信号もなく高速道路のようです。
船に乗ってさらに1時間,テアナウ湖を北上するとやっとミルフォードトラックの起点に到着しました。
ここから本当に散歩道のようなところを20分ほど歩くと最初の山小屋,グレイトハウスに到着しました。立派です。外観は日本でいう山小屋よりグレードの高いロッジ風ですが,内部のロビーや食堂が洗練されていてきれいです。定員50人がゆっくりとくつろげるスペースがあります。そして,シャワールームと洗濯場,乾燥室と至れり尽くせりです。トイレも水洗トイレです。食事は前菜,主菜(肉,魚,野菜から選びます),デザートとクーンズタウンのホテル以上のものです。これだけ豪華な施設が建っているのにすぐ前の川はそのまま飲料水になるといいます。廃水もゴミもうまく処理されているようです。「アルティメイトハイク社」所属の日本人ガイド「カズさん」によれば,廃水は処理した後,地下浸透させているとのことでした。そして山小屋はもともと国が設置管理していて,最近になり民営化されたそうです。入山規制や施設管理の方針がうまく引き継がれているのだなと感心しました。ガイドツアー料金が20万円ほどと高額になるのが理解されます。
夕食前にロッジの周りを歩くネイチャーウォークがありました。日本人ガイドのカズさんのおかげで動植物の話が良く理解できました。所属する日本人ガイドは2名なので,必ずしも日本人ツアー客にはつかないということで私たちは幸運でした。
食後には明日の行程説明とスライドショーがあり,そのあと参加者46名全員の自己紹介です。アメリカ,オーストラリア,ニュージーランド,日本と4カ国から参加があり,各国ごとに一人一人英語で訪れた思いなどをスピーチします。外国の方は早口で聞き取ることはできませんでしたが,私たちはあらかじめ考えていった思いを伝えることができました。時折歓声が上がり,賑やかで思い切り楽しんでいる中高生連れの家族など日本人にはうらやましい光景でした。10時消灯でぴたりと静かになりました。 |

ミルフォードトラックへ向かう船着き場,テアナウダウンズに到着しました。中央の赤シャツを着ている人が日本人ガイドの「カズさん」です。アルティメイトハイク社の専用バスは豪華でした。 |

このボートで1時間,ミルフォードトラックの起点に向かいます。 |

やっとミルフォードトラックの起点に着きました。本当にはるばるやってきたという感じです。 |

これが世界一の散歩道です。まだ実感はわきませんが,木々から垂れ下がっているコケは日本とは違うなあと異様に感じました。 |

20分も歩いて1日目のロッジ,グレートハウスに到着です。上高地の徳沢キャンプ場といった感じでしょうか。妻を除いて皆さん70才越え,長旅もどこへやら,すこぶる元気です。左端が添乗員の杉本さん31才です。 |

日本人への理解が深いガイドの「ジェイサン」です。槍の木を説明しています。ひょうきんな方です。 |

ロッジの前を流れるクリントン川です。そのままで飲料水になるといいます。オーストラリアの中高生でしょうか,泳いでいます。 |

ロッジの外観です。平凡のようですが内部はホテル並です。ロビーでお茶を飲み放題,ゆっくりくつろげます。 |

ガイドの「カズさん」です。ネイチャーウォークの解説をしてくれました。槍の木の進化の話をしています。下の方の葉っぱは動物に食べられるので上の方だけになったとのことです。 |

ネイチャーウォーク終点にあるトイレです。便器もきれいで管理が行き届いていました。 |

夕食後の自己紹介です。70才越えとはいえ,皆さん緊張もせずしっかりスピーチしました。 |

泊まる部屋です。2段ベッドが2つあり4人部屋ですが,私たちはこの先ずっと同様の部屋に2人で泊まりました。 |

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さああ,いよいよミルフォードトラックの本番です。出発を前にグレイドハウス前に集合しました。赤いTシャツの4人が「アルティメイクハイク社」のガイドで,一番左端の方が日本人ガイドの「カズさん」です。
女性ガイドはチリ出身で20代ながらリーダー的なガイドをしていました。
一番右端は軍隊を退役になった方でその次の方が親日的な「ジェイサン」さんです。
(「アルティメイクハイク社」から送られてきた写真です。) |
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グレイドハウス~ポンポローナロッジ 1.23(木) 晴れ時々曇り
一日の始まりは弁当作りから始まります。おいしそうな食材が豊富に並び目移りして,あれもこれもと詰めてしまいます。楽しい一時でした。今日も良い天気が続きます。クリントン川に沿って約16kmを歩くのですが,平坦すぎて少し飽きが来てしまいます。それでも,山からしたたり落ちる幾筋もの滝は日本では見られない新鮮な光景で癒やされます。周りの山は標高が2000m弱でさほどでもないのですが雪が張り付いています。氷河によって削り取られた山は急峻で,雪溶け水はむき出しの岩肌をストレートに流れ落ちてしまうのです。
荷物は4日分の着替えや防寒衣,室内用のサンダルなどで結構なボリュームと重さで,40リットルのザックはめいいっぱいになってしまいました。ロッジに着く頃には腰が痛くなりました。
夕食後,自己紹介で印象に残ったのか話し好きのオーストラリアとハワイの女性の方に話しかけられ,話がなかなか通じず面白いやら疲れるやら新鮮な一時を過ごしました。素足を見せ合って話をするのですが,靴擦れとは理解できなくて閉口しました。 |

弁当作りの様子です。パンに何を挟むか悩むほどの食材です。果物もリンゴ,バナナ,オレンジと豊富です。 |

早朝,川辺を水鳥が列をなして歩いていました。こちらをあまり警戒しません。 |

朝靄の中,遠くの山を見つめて一人物思いにふけっている外国人女性がいました。 |

湿地帯に着きました。私のニコンのカメラに興味を持ったのか外国の若い男性が声を掛けてくれ撮影してくれました。。 |

上高地のような光景ですが少し異国情緒があります。人気は見当たりません。 |

飛べない鳥「ウェカ」です。ニュージーランドクイナともいわれ人なつっこく,多くの場所で見かけました。ニュージーランドには鳥を襲う動物がいないことから,飛ばなくなったそうです。 |

雪を抱いた岩山から流れ落ちる滝です。見応えがあります。 |

滝壺で泳ぐ人がいます。外国人は女性も開放的です。 |

日本人は眺めるだけで記念撮影です。自信がないとのことです。 |

ニュージーランドロビンです。目がクリッとしてかわいいです。この鳥も人を恐れず近寄ってきます。こちらも多くの場所で見かけました。 |

今日の行程もいよいよ終わりです。正面がマッキノン峠のようです。平地歩きは長いと腰が痛くなります。 |

コケと滝と岩山,ミルフォードらしくて思わず何回も撮ってしまいます。 |
ポンポローナロッジ~クィンティンロッジ 1.24(金) 晴れ時々曇り
1年で200日以上,雨量にして9,000ミリも雨が降るミルフォードですが,不思議なことに今日も良い天気が続きます。それでも午後には雨が降る予報とのことで朝7時半出発です。今日のコースはミルフォードトラックのクライマックスで,マッキノン峠越えです。その昔,ミルフォードサウンドに陸路で行くには2,000m級の岩山を越えなくてはならず,苦労の末にマッキノンという人が峠を発見し,命名されたという歴史があります。標高は1154mとたいしたことはないのですが,標高差700mを登るのは結構きつく一汗ふた汗かきます。
登山道にはデイジーの類いの白い花が咲き誇っています。雪の張り付いた山肌を伝う風が心地よく,いつの間にか峠の十字架のモニュメントが目に入ってきました。先回りしたガイドが熱いレモンティーをついでくれ,ひやりとした空気の中でとてもおいしく感じました。この峠からの展望は実に見応えがありました。夢中でカメラを向けていたのですが,夕食の時に外国の方から私を入れて撮影したと画像を見せられ,光栄のような恥ずかしいような複雑な気持ちでした。姿格好があまり格好良くないのですが,大事に保存してくれたようで,ご愛敬です。ちなみに外国の方は1人,2人を除いて,すべてスマホで撮影していました。
峠にはミルフォードサウンドに面してトイレが設置されています。座るとアクリルの窓から壮大なU字谷が見渡せました。最高に爽快でした。お昼を食べていると雌キジのような飛べない鳥 「ウェカ」がやってきて盛んに残り物をねだります。川沿いにもいたのですがここまで歩いてきたのにはビックリです。
下りは登りよりも急勾配です。これは散歩道とはいえないでしょう,本格的な登山道です。途中に大きな滝がいくつか現れました。ロッジに着く頃には予報通り雨は本降りとなりました。一息入れ完全装備で世界で5番目の落差を誇るというサザーランドの滝を見に行きました。580mの落差と同じ,滝から580mの距離に標識があり,滝が目に飛び込んできました。とにかく長い,最上部は霞んでいてはっきりしません。滝壺までゆくとすさまじいミストの中で雨が降っているのが分からないくらいです。小さな国の割になんとスケールの大きなものだろうと,あらためて氷河に刻まれた岩山の目新しさに驚きを覚えました。
今日は結構な疲れで早めの眠りにつきました。
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いよいよマッキノン峠に向かって出発です。ガイドの「ジェイサン」に気合いを入れてもらいました。 |

話し好きのオーストラリアのご婦人と撮らせていただきました。愛想のいい素敵な人でした。 |

マッキノン峠の登りに近づいてきました。あの山かと思うと身構えますが違うようです。 |

登りに入ってきました。先頭は添乗員の杉本さんです。登るにつれて隊列はバラバラになってきます。 |

稜線の雪渓と白い花,いい眺めです。 |

外国人は先にゆき,妻はまるで単独行のようです。 |

雪を抱いた稜線とカールが印象的でした。 |

いよいよマッキノン峠の十字架のモニュメントが見えてきました。 |

やっと到着,筑波山程度とはいえかなり疲れたようです。 |

絶壁の縁の絶景ポイントです。あいにくガスが立ちこめています。胸にはアルティメイトハイク社で作ったファーストネームの入った名札を付けています。いつもこの名前「ミヨコ」で呼ばれます。
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U字谷を見下ろしながら草むらでお弁当を食べました。ウェカがやってきたので一緒に食べました。 |

デイジーの類いの花です。 |

U字谷の形がはっきりととらえられます。 |

雲上のトイレです。いい眺めなので,皆さんどちらかというと興味本位で入ります。
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これまで歩いてきたクリントン川方面にはガスが立ちこめてきました。 |

こちらはミルフォードサウンド側です。池塘を前景にしてU字谷が映えます。 |

標高1,154mのマッキノン峠の標識を前に,達成感に満ちています。 |

休憩もバラバラなので個人山行のようです。 |

下っていくとひときわとがった山が見えてきました。 |

咲き終わったものも目立ちます。 |

下っていくと大きな滝が現れました。 |

咲き終わったマウントクックリリーも見られます。スミレを大きくしたような白い花は何でしょう。 |

サザーランドの滝,580mの落差に圧倒されます。 |

滝壺周辺にはミストが立ちこめています。 |
クィンティンロッジ~ミルフォードサウンド マイターピークロッジ 1.25(土) 雨
ついに雨降りになりました。昨夜からの雨はかなり激しいものです。ロッジから眺める山々は,どれも水ぴたしといった感じで無数の滝に覆われています。
当然,登山道も浸水しており,膝下まで浸かるところもあります。個人山行だと先を進むのが躊躇されるところです。油断したら登山道を踏み外し,胸まで水に浸かってしまいました。足は地面まで届かず,ザックの浮力で両手が伸びたので必死で立木につかまり這い上がりました。すぐ隣の川は激流で登山道まで溢水しているのです。本流まで流されたらと思うとゾッとしました。ガイドの「ジェイサン」からは「ヒロユキスイミング」と声を掛けられ,名前を覚えていただいたことには感激しました。
幾度となく沢を横切るのですが,肝心な所ではガイドが補佐してくれます。靴はびしょびしょというよりガボガボになってしまいましたが,歩いているといつの間にか水が切れてしまいました。大小様々なシダが生い茂り,コケの垂れ下がる木立の中はまさに「もののけ姫」の世界です。シダの国ニュージーランドを象徴する光景が続きます。
終点の「サンドフライポイント」に着く頃にはすっかり雨が上がっていました。それほど遅いペースではないと思っていたのですが,日本人チームはラストでした。外国人はコンパスも長いが体力も相当なものです。このサンドフライポイントですが,砂粒のようなハエ(ハエではなく日本のブユ)が群れていることから名付けられたそうですが,肌が出ているところはところ構わず刺されます。標高の低い清流のあるところには必ず棲息していて,ミルフォードトラックの起点から悩まされてきましたが,終点は特に多いようです。「アルティメイトハイク社」で特効の虫除けスプレーを購入してきたのですが,時間がたつと効き目が薄れます。帰国後1週間ほど湿疹やかゆみに悩まされました。もう少しまめにやればと後悔しました。
サンドフライポイントからはボートに乗り,ミルフォードサウンドの畔の最後のロッジへ向かいます。目の前に「マイターピーク」という山ががそびえる風光明媚なところです。マイターとはキリスト教の司教がかぶる帽子のことで,ピラミッドのような形に似ていることから名付けられたそうです。 マイターピークは標高1,800mで海水面からそそり立つ山としては世界で2番目に高く,ニュージーランドを象徴する景色として有名とのことです。
濡れた衣類を乾燥室にいれ,とにかく完歩のお祝いをしようと,ニュージーランドビール「スパイツ」や白ワインで祝杯を挙げました。夕食は日本人ガイドの「カズさん」を囲んでの懇談で,日本語の通じるありがたみを痛感しました。カズさんはアルティメイトハイク社に採用され5年目になり,日本人の勤勉で緻密な振る舞いは現地でも高く評価されているとのこと。日本では英語に自信があったが,ニュージーランド独特の英語に苦労したこと,日本人には英語力と勇気でもっと海外へ出てほしいと思っていることなどを話されました。たくましく生きる姿に感銘し,売店で購入した「爺と婆のニュージーランド冒険旅行」という絵本にサインしていただきました。 |

雨の朝です。山の上からかぶった水が辺り一面したたり落ちています。 |

スパッツをはき完全装備ですが蒸し暑さは感じられません。 |

大きな滝の展望所で記念の一枚です。 |

この滝にどうしても引きつけられてしまいます。 |

コケとシダ,ミルフォードのシンボルです。 |

苔むした道はどこまでも続きます。 |

大小の沢を横断します。手を差しのばしてくれているのは長崎から単独旅行に来ている60才のHさんです。 |

ジャイアンツゲートの滝を背景に最年長のMさんと記念の一枚です。Mさんは戦中派だそうですが,その脚力は並外れています。 |

どうしても幾筋もの滝にカメラがいってしまいます。 |

滝壺では人魚のように泳ぐ若い外人女性の姿がありました。 |

シダとしたたり落ちる滝,本当に多いです。 |

だんだんと滝が大きくなってきます。 |

そして終点のサンドフライポイントです。完歩の達成感で笑顔が出ます。53kmを4日で歩きました。 |

ミルフォードサウンドの雰囲気です。 |

この船に乗り最後のロッジに向かいます。 |

港に着きました。とんがり山はミルフォードサウンドのシンボルです。
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完歩を祝して乾杯です。 |

ミルフォードサウンドのシンボル,マイターピークが見えてきました。 |

ミルフォードサウンドの夕暮れです。絵になる光景です。 |

ロッジでMさんが日記を書いています。日記には昨年訪れた水戸市の夫婦の記録が書いてありビックリしました。 |
マイターピークロッジ~ミルフォードサウンドクルージング~ルートバーントラック キーサミット 1.26(日) 小雨後曇り
今日はミルフォードサウンドのクルージングです。ミルフォードサウンドは本来氷河によって形成された地形なので,フィヨルドというべきところをサウンド「入り江」と間違って名付けられた経緯があるそうです。それはともかく,クルージングは港から南極近いタスマン海まで出て戻ってくるという90分のコースです。あいにくの小雨模様ですが,霧に霞む岩山とそこを流れ落ちる大小の滝が独特の景観です。大きな滝に大接近するような時もあり,水しぶきで大きな歓声が上がります。山際まで相当な水深があるようです。岩場にアザラシが寝そべっていたり,バンドウイルカが遊覧船と併走するなどディズニーランドのようです。水族館にいるような気がしました。
港に上がると外国人の方とは別れ,私たちはルートバーントラックの展望台キーサミットへと向かいます。今度は女性の日本人ガイド「ヨシエさん」という方が,登山口ディバイドまでの道中の解説や3時間の登山中の解説をしてくれました。20才の頃には日本で100名山をはじめとした山々に登り,ニュージーランドに渡ってからは登山ガイドをしながら結婚,子育てをして現在孫がいるとのことでした。地形のこと動植物のこと博識で素晴らしい解説をいただきました。
キーサミットは標高919m,平らな山頂に池塘や湿原が点在し田代山のようです。あいにく小雨が降ってきて展望はききませんでしたが人気コースのようです。休日ということもあり,たくさんの登山者に出会いました。私たち以外の日本人も登られたようです。クラブツーリズムのツアーのようでした。下山中には霧が晴れ,名峰クリスティーナ山を見ることができました。
盛りだくさんの充実した一日でした。宿泊は近くのテアナウという小さな町です。夕食後も日が沈まず,お土産を探し回りました。ニュージーランドの特産に「グリーンストーン(日本の翡翠)」でできたアクセサリーがあるそうです。シダの渦巻きの形をしたものが人気なので,小遣いをもらった娘用にと100ドル(8,000円)で買ってみました。その「ジェイド」という宝石店には,かけらも売っていたので,これは孫たちに10ドルで買ってみました。
アイスクリームも絶品だというので,チョコ入りのものを3ドルで買ってテアナウ湖の畔で食べてみましたが雰囲気ほどの特別な味はしませんでした。 |

ガイドツアーに参加した46名の皆さんです。これからクルージングに出発です。 |

船乗り場に翡翠の岩石が展示されていました。ニュージーランドではグリーンストーン(原住民のマオリ語でPOUNAMU)と呼ばれかつては世界的な産出国だったとか。 |

クルージングでも滝が目立ちます。
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アザラシが昼寝をしていました。夜は海に出てえさをとるそうです。 |

バンドウイルカが遊覧船と併走しています。 |

滝をめがけて船が直進します。 |

雨上がりに虹が出ました。 |

ルートバーントラックの登山口に到着しました。中央の方が日本人ガイドの「ヨシエさん」です。ザックに私たち分のコーヒーやクッキータイムをが入っていて感激しました。 |

ここでもコケが垂れ下がっています。 |

標高919mのキーサミットで記念の一枚です。 |

山頂で昼食です。熱々のコーヒーと銘菓「クッキータイム」をいただきました。 |

ニュージーランド「エーデルワイス」です。 |

池塘や湿地帯が点在しています。 |

シダの解説です。200種ほど見られ,その4割はニュージーランドの固有種だそうです。まさにシダ王国です。 |

下っていくと形のいい山が出現しました。クリスティーナ山ではないようです。 |

登山口に戻りました。少し物足りなく,もう少し先まで行ってみたい気がしました。 |
テアナウ~クライストチャーチ(泊)~成田 1.27(月)~28(火) 晴れ時々曇り
今日からは帰国に向けての移動日です。まず,テアナウからクイーンズタウンまで2時間半バスの旅です。少し眠気を催す距離ですが,バスのニュージーランド人ドライバーの日本語の解説がとても上手で興味を引きつけられました。この方,オークランド大学出身とかで日本百名山や四国八十八カ所巡礼を成し遂げたという大の日本通でした。日本の旅ガイド英語版を編集しており,年数回日本を訪れているそうです。ニュージーランドで日本酒を醸造している話を聞いてびっくりしました。クイーンズタウンの酒屋さんで見たら720ミリリットルが100ドル,8,000円ほどと分かって,買う人がいるのかなとまたまた驚きました。
クイーンズタウンに着いたのはお昼時で,このツアーで1食だけ昼食代が含まれていないというので,みんなでラーメン店に入りました。中国系女性の方のお店で,ラーメンと水餃子を30ドル,2,400円ほどで食べたのですが,ダシが薄く私にはあまりおいしいとは感じませんでした。観光地ということもあってか,物価は日本よりも少し高めのようです。
今度は何も入っていないピュアなアイスクリームを食べてみたのですが,日本のものと格別差はないようでした。
午後4時半,クイーンズタウンからクライストチャーチに向かいました。この都市は人口38万人で南島最大の都市ではありますが,地震の爪痕が随所に残り,完全復興はまだ先のようです。特に海岸寄りの埋め立て地は被害がひどく,既存市街地を移転させる都市造りを進めているとのことです。宿泊するホテルは市街地中心部にありますが,あまり活気は感じられませんでした。近くの観光名所の大聖堂も被害を受け,フェンスに覆われ復旧工事の最中でした。送迎バスのドライバーは日本人で,ニュージーランドに関してかなりの博識の持ち主でした。見事な解説でした。
最終日は3時起床,4時に空港に向かいオークランドで国際線に乗り換えます。9時50分の成田行きに乗り,成田到着は日本時間午後5時頃でした。ニュージーランド時刻は日本より4時間進んでいるので移動時間は17時間になります。成田から自宅までは自家用車で3時間,併せて20時間の移動は大変でした。それでも二人にとっては,終末までの良き思い出になるのではと,納得し合った「たそがれ山歩」でした。
添乗員の杉本達郎さんが私たちのツアーを「登山ガイド杉本達郎の山日記」というブログで紹介しています。
帰国後,ミルフォードが大変なことになっていました。
ルートバーントラックの時の日本人ガイド「ヨシエさん」が言っていました。このところニュージーランドの気象が異常だと,特に雨の降り方が激しすぎるという話です。
それが現実になり,2月7日にミルフォード周辺で降った雨は2日半の間に例年の3ヶ月分もの雨が降ったそうです。環境省(Department of
Conservation)が2月7日に発表した内容によると、ミルフォード・トラックは「少なくとも2月いっぱいは再開できない」としています。コースの終わりの方で大きな被害があったことが確認されており,それ以外にもコースの被害状況を確認しながら修復に当たっていくとのことです。
異常気象は全地球的に多発しているようです。私たち観光客もその一員になっているのではと気になるところです。
それでも,これから行ってみたいという方々のためにも,一日も早い復旧を祈るばかりです。 |

朝6時頃のテアナウ湖です。飛べない鳥「タカヘ」のモニュメントがありました。 |

船着き場には人影は見当たりません。 |

クイーンズタウンに戻る途中の休憩所。博識のドライバーの説明はとてもわかりやすかったです。 |

道中は羊の群れのほか畑は見当たりません。羊は1年中,野外で暮らすそうです。 |

羊よりお金になるとかで最近は牛が増えているとか。牛は冬になると小屋に入れるそうです。 |

夏場には牛のえさを収穫しています。畑というより草原です。 |

クイーンズタウンに戻ってきました。日が射しても日本の夏の暑さはありません。観光客は途切れません。 |

クライストチャーチのホテル前です。朝4時ということもあり物寂しい感じです。 |
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