
海外の山歩き
キナバル山登頂と魅惑の王国ブルネイ 2025.2.14(金)から2.19(水)までの6日間

位置図 |

キナバル山の位置図
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ブルネイ王国ウル・テンブロン国立公園位置図 |
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1日目(2/16)
7:30 コタキナバルホテル出発
10:08 登山口 ティンポホンゲート出発
16:46 ラバンラタ レストハウス(山小屋)到着 (宿泊)
歩程 7.9km 山歩時間 6時間46分
2日目(2/17)
1:00 起床
2:00 軽食
2:31 ラバンラタ レストハウス 出発
6:34 キナバル山山頂 ローズピーク到着
9:08 ラバンラタ レストハウスで朝食 休憩
10:30 下山開始
15:00 登山口 ティンポホンゲート下山
歩程 14.6km 山歩時間 11時間9分
※ スマホアプリ「スーパー地形」で記録してみました。地図はOpen TopoMapを使いました。 |
後期高齢者を過ぎ、海外の山歩きの締めくくりにと少しきつそうな山を捜しました。毎日新聞旅行「まいたび」の世界の山旅です。その中で「まいたびツアーレポート」にニュージーランドのミルフォードトラックで一緒になった方がキナバル山に登っている写真を見つけました。そういえばミルフォードトラックの後、キナバル山へ行きたい話をしていたのを思い出しました。これも縁だなと感じながら早速「まいたび」に申し込んでみました。この年で果たして完登できるか不安を抱えての山行でした。
参加者は北海道、宮城、埼玉、神奈川、東京、そして私茨城の10名で、男7名、女3名でした。私が最高齢かなと思っていたら、4名が後期高齢者で最高齢は84才の男性でした。この方は毎日50kmを車で走り、金時山に登っているとか、まさに鉄人です。他の2名の女性の方もカモシカのような脚をしていて自信ありげです。ついて行けるか、不安が大きくなりました。その他の方は60代早々といったところで、自信に満ちていました。果たしてどんな結果になるのか、毎日が緊張した日々でした。 |
成田~ブルネイ首都バンダル・スリブガワン(ホテル泊) 2.14(金) 晴れ
キナバル山に登るにはコタキナバル市に行かなければなりませんが、日本からの直行便はなく乗り換えが必要になります。「まいたび」ではボルネオ島の人口50万人の小国、ブルネイ王国(正式にはブルネイダルサラーム)を経由した行程でした。ブルネイ王国もさることながら、ボルネオ島がマレーシア、インドネシア、ブルネイ王国に分かれていることもはじめて知りました。そして、石油資源に恵まれているのはブルネイ王国で税金はゼロ、ガソリンは販売開始から50円のままだそうです。中東の国々と同様裕福で、街並みや道路はとてもきれいです。車も1家庭で5台前後持っているそうです。日本から6時間ほどと身近にある国に、まず1泊しました。
お金持ちのブルネイ王国ですが、金銭感覚はシビアーです。ホテルでグラスを割ってしまった参加者の方は、半額の500円ほどを支払いました。きちんとしてると言えばそうなのですが。マレーシアの方はおおらかで、今度は私がホテルのテレビのリモコンを床に落として電池カバーを割ってしまいましたが、賠償の請求はありませんでした。笑顔で許してくれました。 |

ロイヤルブルネイ航空です。裕福な国だけあって燃油サーチャージは無料です。日本からは週2便しか運行していません。 |

ホテルのトイレです。ホースが伸びています。ブルネイ王国などイスラム圏では紙を使わないで、このホースで尻を洗うそうです。便器がびしょびしょになってしまいますが、現地の人は一向に気にならないそうです。
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ホテル前の通りです。街路樹は椰子の木できれいな街並みです。 |
ブルネイ ウル・テンブロン国立公園 ジャングルトレッキング~マレーシア コタキナバル(ホテル泊) 2.15(土) 晴れ
ブルネイ王国にはジャングルがあり、国立公園に指定されています。今回はブルネイで最初に指定されたウル・テンブロン国立公園でジャングルウォークを体験しました。
公園では「レインフォレストロッジ」というところでオリエンテーションを受け、4人乗りボートで40分ほど上流に向かいます。今季は雨が少ないとか、浅瀬が多く座礁してしてしまいスタッフが押してくれるというアクシデントもありました。ジャングルに着くと、そこにはかつて皇族専用のホテルがあったとか、立派な建物が休憩施設として使用されていました。
上陸後は800段程のの木の階段を歩いて、キャノピーウォークという50mほどの鉄製の足場で作ったタワーに登ります。日射しは遮られますが、熱帯雨林特有の湿気が多く汗が噴き出します。セミの声が絶え間なく聞こえています。
ほんの一日で真冬の国から真夏の国にいるなんて、なんだか信じられない感じでした。タワーは3本連結されていて360度ジャングルが見渡せます。辺り一面熱帯雨林に囲まれて思い切り深呼吸しました。新鮮な空気でした。 |

レインフォレストロッジではジャングルの生きものなどの説明がありました。
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4人乗りの小さなボートでジャングルに向かいます。沿岸の熱帯の木々が
珍しく何枚も写真に収めました。
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60mの吊り橋が架かっていました。
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熱帯の大木は風格があります。酸っぱい蜂蜜がとれるという
木もあります。 |

キャノピーウォークに着きました。足がすくむ塔を登ります。 |

下を覗くと少しムカムカします。 |

塔は連結されていて木の先端がよく見えます。 |

辺りは緑一色、これぞ熱帯雨林といった感じです。 |

途中の休憩地点には鮮やかな花が咲いていました。 |

ロッジに戻って鶏肉と、米、ココナッツミルクを竹に入れた郷土料理を体験しました。 |

竹をあぶって出来たご飯や鶏肉を食べました。 |

レインフォレストロッジはビジターセンターと行ったところでしょうか。 |

帰りのバスから水田地帯が見えました。穂が出ています。 |

市街地に戻りナイトマーケットを見て回りました。 |

珍しい食べ物が100円から200円で売っていました。 |
キナバル山登山~ラバンラタレストハウス(山小屋泊) 2.16(日) 晴れ
3日目になり、いよいよキナバル登山開始です。登山口まではコタキナバル市街から2時間ほどかかります。途中の休憩地点からキナバル山の全容がよく見えました。圧倒的な標高と山頂のキザギザが印象的でした。観光客がひっきりなしに訪れては写真を撮っています。世界遺産といった名前が頷けます。ちなみに、トイレは有料制で1リンギットの半額50セントで20円ぐらいです。管理者が釣り銭を用意して待っていました。ちなみにマレーシアではトイレは基本的に有料だそうです。
国立公園本部でIDタグと弁当、水を受け取ると登山口のティンポホンゲートまでワゴン車で送ってくれます。スタートは10時を少し回ったところでした。現地ガイドが3名ついて、ガイドリーダーのペースに併せてゆっくり、ゆっくり歩き始めました。少し遅めのペースでしたが、登っていく内にその訳がわかりました。1800mから3200mまで延々と登りが続くのです。そして9割方が階段状になっています。外人仕様なのかステップの高さが高く、短足には堪えます。たちまち汗まみれとなりました。Tシャツ1枚が丁度いいです。
休みたいなと思う頃、旨いところに休憩用の四阿が建っていました。30分のペースで一息入れられるのは助かりました。心臓がバクバクです。添乗員は高山病予防のため盛んに水を飲むようアドバイスします。山小屋まで1.5リットルは飲む必要があるとか、休憩たびに口に含みました。それにしてもきつい登りで、果たして山頂までたどり着けるのか不安になりました。
公園本部で渡された弁当は、サンドウィッチにバナナ、チョコレート菓子などで、結構腹持ちがよく日本から持ってきたゼリーやようかん、プルーンなどは食べずにすみました。なかなか理にかなったものと言えます。辛さの方が先で、腹が空くという感覚は余りありません。ひたすら耐える感じでした。そんな登りでも登山道沿いに鮮やかな花々が咲き乱れ、しばし疲れを癒やしてくれました。
延々と登っていても、いつかは終わりが来るものです。果たしてたどり着けるのかと不安が高じている間に、どうにか山小屋らしき標識が出てきました。やったという気持ちで小屋の前の広場に座り込みました。小屋は清掃が行き届いてホテル並みの雰囲気です。ビュッフェスタイルの食事、水洗トイレ、一部屋8名の2段ベッドなど快適に過ごせる作りになっています。
早々に夕食を済ませ、7時にはベッドに入りましたがいつまでたっても睡魔は訪れませんでした。
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登山口に向かう途中の休憩場所からキナバル山がよく見えました。多くの観光客が写真撮影に一生懸命でした。
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公園本部から登山口までワゴン車で送ってくれました。
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30分おきの休憩所です。トイレ、ゴミ置き場があります。トイレは下水管で麓まで流しています。ゴミは歩荷で回収しています。写っているのはガイドさんです。
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ウツボカズラ、高度が上がるごとに大きくなっています。 |

鮮やかなピンクの花も目立ちます。ルーゴサム・シャクナゲだそうです。 |

そして蕾みが特徴的なツバキのような花です。ヒメツバキだそうです。 |

やっとの思いで山小屋 ラバラタレストハウスに到着しました。疲れました。
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山小屋の背面には一枚岩の圧倒的なスケールを見せるキナバル山の裾野がそびえています。 |

山小屋はロッククライミングの1種を行う人の専属小屋があります。 |

食堂は多くの人で賑わっています。快適です。 |

小屋の前には日本で言うハイマツ地帯のような低木が生えています。 |

テラスから雲海がきれいでした。 |
ラバンラタレストハウス~キナバル山頂~ラバンラタレストハウス~ティンポフォンゲート~コタキナバル(ホテル泊) 2.17(月) 晴れ時々雨
午前1時起床、2時に軽い軽食としておかゆを食べ2時半にキナバル山頂目指して出発しました。少人数のパーティーは0時過ぎから動き出し出発していったようです。冷え込みは日本の平地並みです。里山を登る格好でスタートしました。
真っ暗闇の中をヘッドランプの明かりが転々と動いています。富士山のような行列かと思っていましたが、遙かにまばらです。一日の入山者が160名ほどに限定されているためか、落ち着いて一歩一歩登ることが出来ます。4000mを越えてくると呼吸も苦しくなります。一枚岩の登山道は思ったよりも滑りにくく、ゆったりゆったり高度を稼ぎました。山頂は非常に狭く人だかりが出来ていました。ガイドが一人一人記念写真を撮ってくれるので順番待ちの行列が出来ていました。私は感激の余り万歳の格好で写真に収まりました。76才を目前に登頂できた喜びはひとしおです。ろくに眠れなかった身で歩け通せた自分を褒めてあげたい気分でした。山小屋で30リンギット(1000円ほど)で入れてもらった温かいサバティーは体の芯に染み渡りました。日本から持ってきた羊羹も力になりました。
山頂での展望を満喫していざ下山です。暗い中でわからなかった登山道を改めて見直して、よくこんなところを登ってきたものだと驚きました。かなりの急傾斜です。ロープは目印だと言いますが、ロープがないと転げ落ちそうです。緊張して力が入りました。山小屋に着いたときにはぐったりと疲れがこみ上げてきました。1時間半の休憩です。朝食をしっかり食べ、荷物を整理して長い下山に備えます。転倒に気をつけながら段差のある階段状の登山道を慎重に下ります。途中スコールに見舞われ雨衣を着ての下山になりましたがゲートが見えたときにはこれで終わったんだと感無量の心境でした。
公園本部にはレストランが備えられており、ビュッフェスタイルの昼食が用意されていました。スイカやマンゴー、パインといったフルーツが特においしく感じました。4時半過ぎにコタキナバルのホテルへと向かいました。 |

午前2時半、登頂に向けて出発です。 |

外国人はスニーカーといった軽装で登っています。 |

ヘッドランプの先にいくつかのピークが現れてきました。 |

最高点ローズピークに明かりが見えます。 |

奇岩というか独特のピークがいくつかあります。 |

月明かりにピークが浮き上がります。 |

明るくなってきました。もーすぐローズピークです。 |
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山頂一帯が独特の一枚岩で出来ています。 |

ゴリラの顔に似たピークです。 |

撮影はスマホが圧倒的に多いです。 |

ゴツゴツとした岩で足をひねりやすいです。 |

一枚岩のきれいなカーブです。 |
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これは少しささくれ立っています。 |

ローズピークの後ろは断崖絶壁になっています。 |

山頂での撮影の順番が回ってきました。 |

感極まって万歳してしまいました。 |

山頂での絶景を十分楽しめました。 |

朝日が高くなってきました。 |
コタキナバル市内見物~ブルネイ バンダル・スリブガワン~成田 2.18(火)~19(水) 晴れのち雷雨
キナバル山から下山した後、コタキナバル市内に戻り海上レストランで打ち上げ会を行いました。海鮮料理をいただき、バンブーダンスを眺めながらの会食です。全員登頂の喜びでビールで祝杯を挙げたり、ダンサーと一緒に記念撮影をしたりして感激を新たにしました。翌日は市内観光です。はじめにケガをした野生生物を保護しているという動物園へいきました。アジアゾウ、オランウータン、テングザル、マレー虎などを身近に見ることが出来ました。特にテングザルはボルネオ島の固有種で貴重種とのこと、ドイツ人の鼻に例えて名付けられたとのガイドの説明には、キナバル登山道の整備と関連付けられるのか興味を引かれました。不確かな情報ですが、登山道を整備したのがドイツ人だという記事をネットで見ていたからです。別の記事では最初に登ったのがイギリス人のローズという人で、最高点ではなかったそうですが敬意を表して最高点をローズピークと名付けたそうです。とにかく欧米人向けに登山道が整備されたため、段差が高いのではと思います。
その後は優雅な市営のモスクを見学したり、立派な寺院にお参りしたりして、熱帯雨林を盛んに輸出していた時代に建設されたというユニークで豪華な建物などを眺めては大きなスパーマーケットで紅茶、チョコレート、コーヒーなどのお土産を買ってコタキナバル空港へと向かいました。深夜、ブルネイの空港で成田行きのブルネイ航空に乗り換え朝の7時半帰国しました。
盛りだくさんで時間刻みのキナバル登山、充実した内容でしたが後期高齢者にはなかなかきつい海外の山歩でした。登山のみに絞っても良かったのではという、私の感想です。 |

コタキナバル市内の海上レストラン、バンブーダンスが行われています。 |

海鮮料理です。中華風で余り口に合いませんでした。
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野生動物園です。セミ時雨の中汗だくでした。
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アジアゾウへの餌やりです。椰子の葉を豪快に投げ入れています。餌やりにも経費がかかり、余り沢山の保護は出来ないそうです。 |

ボルネオ島やスマトラ島の固有種オランウータンもいました。 |

テングザルの雌です。ボルネオ島の固有種です。 |

マレー虎も生息しているそうです。 |

コタキナバル市立のモスク、ブルーモスクとも言われています。きれいです。内部を見学しました。 |

1本の柱で立てられた30階建てのビル。旧サバ州の庁舎だったそうです。
木材を盛んに輸出していた頃の資産だそうです。
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今度のお土産です。サバティー、インドコーヒー、ナッツチョコです。 |

ブルネイの特産品、針なしミツバチの蜂蜜です。酸っぱい蜂蜜です。 |

ブルネイのコーヒーです。ドリップ式です。 |
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